インプラントは「どれくらい持つの?」寿命を左右する3つの要因について|古木歯科医院
【目次】
- はじめに──インプラントの「寿命」はどれくらい?
- 一般的なインプラントの耐用年数
- 寿命を左右する3つの要因
① メンテナンス習慣
② 骨や歯ぐきの状態
③ 生活習慣(噛み癖・喫煙・全身状態) - インプラントを長持ちさせるために当院で行っている取り組み
- インプラントは“入れて終わり”ではありません
- まとめ──10年後、20年後も快適に使うために
- はじめに──インプラントの「寿命」はどれくらい?
こんにちは。水戸市の古木歯科医院、院長の古木です。
インプラント治療について患者さんから最も多くいただく質問のひとつが、
「インプラントってどれくらい持つんですか?」
というものです。
歯を失った部分を補う治療方法は、入れ歯・ブリッジ・インプラントの3つが代表的ですが、その中で最も「長持ちしやすい」と言われるのがインプラントです。
とはいえ、ただ“長持ちする”という言葉だけでは不安が残りますし、
「20年持つって本当?」
「一生使えるものなの?」
と疑問を持たれる方も多くいらっしゃいます。
今回は、インプラントの寿命に関する実際のデータと、寿命を左右する3つの重要な要因について、私の臨床経験もまじえてお話しします。
- 一般的なインプラントの耐用年数
まず、一般的に公表されているデータとしては、
10年後の生存率(問題なく機能し続けている割合)は、約90〜95%
と言われています。
ただし、ここで誤解してはいけないのは、
これは「10年で寿命が尽きる」という意味ではありません。
実際には、20年、30年と使い続けている方も珍しくありません。
私自身、20年前に他院でインプラント治療を受け、その後当院にメンテナンスで通院されている患者さんも複数いらっしゃいますが、問題なく使われているケースも多くあります。
- 寿命を左右する3つの要因
① メンテナンス習慣
インプラントの寿命で最も大きな影響を与えるのが、
「どれだけ丁寧にメンテナンスしているか」 です。
インプラントそのものは虫歯にはなりませんが、
歯周病にはなります。正確には“インプラント周囲炎”と呼ばれます。
このインプラント周囲炎を放置すると、顎の骨が溶けてしまい、
最悪の場合、インプラントが抜け落ちることもあります。
そのため、
- 定期的なプロフェッショナルクリーニング、ブラッシング指導
- レントゲンによる骨の状態確認
- ご自宅でのケア
これらの積み重ねが寿命を大きく左右します。
定期メンテナンスに通う方のインプラントは、明らかに長持ちします。
逆に、数年メンテナンスを怠った方は、トラブルが起きやすい傾向が強いです。
② 骨や歯ぐきの状態
インプラントは、顎の骨に直接埋め込む治療です。
そのため、骨と歯ぐきの状態は寿命と大きく関わっています。
骨量が十分にあり、歯周病が安定している場合は比較的長持ちしますが、
骨が薄い・柔らかい・歯周病の既往がある場合は、注意が必要です。
現在はGBR(骨再生)、サイナスリフト、ソケットリフトなど、
骨を増やす技術の進歩により治療の幅は広がっていますが、
骨の質や歯周病の管理が不十分だと、長期安定は難しくなります。
治療前の精密検査で骨の状態をしっかり把握することが、
「長持ちするインプラント」を実現するためのスタートラインになります。
③ 生活習慣(噛み癖・喫煙・全身状態)
あまり知られていませんが、インプラントの寿命は
生活習慣の影響を受けやすい という特徴があります。
特に影響が大きいのが以下の3つです。
- 喫煙
喫煙者はインプラントの失敗リスクが約2〜3倍になるという研究もあります。
理由は、
- 血流が悪くなることで骨とインプラントの結合が阻害される
- 歯周病になりやすい
この2点です。
- 歯ぎしり・食いしばり
インプラントは天然歯よりも衝撃を受けやすいため、
強い噛み合わせが続くと負担が蓄積します。
当院ではそのような患者さんにナイトガードをおすすめしていますが、
これにより寿命は大幅に変わります。
- 糖尿病・高血圧などの全身状態
病気そのものよりも
コントロールできているかどうか
が寿命を左右します。
血糖値が安定している方は問題なく治療できますし、長期維持もしやすいです。
- インプラントを長持ちさせるために当院で行っている取り組み
古木歯科医院では、インプラントを“10年、20年と使い続けていただくこと”を大切にしています。そのために以下の取り組みを行っています。
■ 初診時の精密検査
CT撮影・歯周病検査・噛み合わせ分析など、
お口全体の状態を細かくチェックします。
■ 術後の定期メンテナンスプログラム
3ヶ月ごとの来院を基本とし、
- 骨の状態のチェック
- 歯周ポケット測定
- プロフェッショナルクリーニング
を行い、トラブルを未然に防ぎます。
■ 生活指導の徹底
喫煙の影響や、噛み癖のコントロールについて、
患者さんと一緒に長期的な方針を立てていきます。
- インプラントは“入れて終わり”ではありません
インプラントは「治療して終わり」ではありません。
治療が終わった後の 使い方・ケアの仕方・生活習慣の改善 が、寿命を大きく左右します。
逆に言えば、
きちんとケアしていくことで寿命は格段に伸ばすことができます。
インプラントは、正しく管理すれば本当に長く使える治療法です。
実際、20年以上問題なく使われている患者さんは決して珍しくありません。
- まとめ──10年後、20年後も快適に使うために
インプラントの寿命は、
機械的な“耐久性”だけで決まるわけではありません。
今日お伝えした3つの要因、
① メンテナンス習慣
② 骨・歯ぐきの状態
③ 生活習慣や全身の健康状態
これらが揃うことで、インプラントは長く快適に機能します。
もしインプラント治療を検討されている方は、
治療の前にぜひ
「長持ちさせるためにはどうしたら良いか」
という視点を持ってみてください。
そして、不安や疑問があれば、遠慮なくご相談いただければと思います。
治療後も一生付き合っていけるパートナーとして、しっかりサポートいたします。






